職場について①

人は食うために仕事をする。僕もそうだ。

 

組織や一つの社会に身を置くと、その中の特有の考え方や慣習が染みついてくる。そしてその中のルールに沿って言動を弄していれば、それなりに周囲に認められ仲間扱いされる。それを大人のマナーや常識と名付けるべきか、軽薄な処世術と言うべきか。

 

人が集まって集団を成している以上、集団への妥協は必要だ。深いことや難しいことを考えてしまう人ほど、苦悩することになる。自分はこの中で自分を表現しているか、自分に負けていないか、くだらない愛想笑いをしていないか、孤独になることに耐えきれず、一瞬の周囲の歓心を買うために話すべきでないことをしゃべっていないか。

 

あまり細かいことにこだわらず、周囲に身を委ね、合わせることが職場でのうまいやり方だ。皆、周囲の目を過剰に意識するし、世間体を大事にする。それゆえの行動や言葉に陥るのはやむをえないこと。「あなたの人間の奥が見たい、本当はもっと違う考えや気持ちを持っているだろう」と相手に期待すると、はぐらかされて、人間に落胆する。そう、人は自分がかわいい。

自分がかわいい者同士の会話はどうしても、人間の奥深い部分や魂のふれあいまでは到達しない。せいぜい職場の人間関係の、仕事の話、上司の悪口、当たり障りのないことで占められる。

 

仕事がすなわち人生であり、多大な時間を費やし情熱を傾けられる人は幸せだ。仕事を楽しみ、やりがいを感じ、日々が充実する。しかし、どうもしっくりこないと思っている人も当然存在する。仕事自体は楽しい。しかし、職場での人間関係に疲弊し、後ろ向きな気持ちになって、仕事全体が嫌になってしまった場合どうすべきか。  続く