贈り物

職場で、ちょっとしたお菓子をデスクに置いていく人がいる。つまり贈り物だ。

僕がその贈り物を見てまず思うことは、お返しをしなくてはいけないということ。まさしく「しなくてはいけない」という義務感にとらわれる。こういう、物を贈る、返すがなく、人付き合いができたらどんなに自由だろうか、わずらわしくないだろうか。

 

贈り物の役割とはいったいなんだろうか。

 

偏見かもしれないが、女の人はこのようなやり取りを好む傾向がある。むしろ、贈り物を選ぶことを楽しんでいる側面がある(人に依るだろうが)。どのような心理から贈り物をするのだろうか。

恐らく、ほとんど見返りを求めてはいないだろう。ただ、お世話になっているからとか、これを食べさせてあげたいという親切かつ優しい心持ちによるものだろう。このような気持ちからもらうのであれば、ありがたくいただくのが大人という者。お返しをするしないということは些末なこと。素直に受け取れば、それだけで相手は喜ぶだろう。

 

しかし、私はちょっとしたものでも、もらいっぱなしということに耐えられない。悪い気がするのだ。小心者の考え方なのだろう。損得でものを考え過ぎているとも言える。常にフラットな関係でいたいから、貸し借りはなしの状態でいたい。

 

贈り物とは人が人を求め、欲する生き物である以上、心の交流の一手段となる。人は誰だって、周囲の者と良好な関係を築いていたいし、敵など作りたくない。世の中、協力し、支え合わないと立ちゆかなくなる。まさに、社会生活を潤滑にする行為であり、損得は度外視し、社会の構成員としてのマナーとまで言える。

 

必ずしもお返しをしなくてはいけないという決まりはない。しかし、あまりに一方的にいただいてばかりというわけにはいかない。しかし、これが慣習化し、義務的にやらなくてはいけないという雰囲気になったなら本末転倒で、見栄のための物と化す。

 

やはり僕はなくていいと思う。